外国人雇用における不法就労助長罪~外国人企業担当者も退去強制に~

不法就労に関与した企業担当者もペナルティを受けます

「知らなかった」では済まされない──「技術・人文知識・国際業務」として派遣会社に勤務していた外国人が、不法就労助長と判断され退去強制の処分を受けました。

【記事要約】東京高裁が示した「過失がなくても退去強制」

東京高等裁判所は、不法就労を助長したとされる外国人に対して、不起訴になった場合でも退去強制が可能だとする入管当局の判断を支持しました。
この女性は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で来日し、人材派遣会社で勤務。
某外国籍の面接を担当しましたが、その人物が実は技能実習から逃亡し、就労資格を持たない状態だったことが後に判明しました。
刑事事件としては不起訴になったものの、入管当局は退去強制(国外追放)を決定。当該外国人はこれを不服として争いましたが、高裁は入管当局の判断を支持しました。

外国人が不法就労助長をした場合、退去強制事由になります

外国人が不法就労助長をした場合、たとえそれが不起訴になったとしても、入管法第24条に基づき退去強制事由になります。

今回の判決の解説にあたり、刑罰(不法就労助長罪)と行政処分(退去強制)の考え方の違いを整理します。

刑罰(不法就労助長罪)

不法就労助長罪については、入管法第73条の2に規定されています。
これは、事業活動に関して外国人に不法就労活動をさせた場合や、不法就労をさせるために外国人を支配下に置いた場合、あるいは業として不法就労のあっせんを行った場合などに適用されます。
これらの行為を行った者は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、またはその両方が科されます。

また、これらの行為を知らなかったことを理由に処罰を免れることは原則としてできません
ただし、過失がない場合は例外とされています。

引用:出入国管理及び難民認定法第七十三条の二

第七十三条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者
2 前項各号に該当する行為をした者は、次の各号のいずれかに該当することを知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
一 当該外国人の活動が当該外国人の在留資格に応じた活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。
二 当該外国人が当該外国人の活動を行うに当たり第十九条第二項の許可を受けていないこと。
三 当該外国人が第七十条第一項第一号、第二号、第三号から第三号の三まで、第五号、第七号から第七号の三まで又は第八号の二から第八号の四までに掲げる者であること。

出入国管理及び難民認定法

行政処分(退去強制)

退去強制については入管法第24条に規定されています。
この規定では、外国人を日本から強制的に退去させる根拠を定めています。

不法就労に関しては、以下のような行為を行い、唆し、または助けた者は退去強制の対象となるとされています。

  • 事業活動に関して、外国人に不法就労活動をさせること
  • 不法就労活動をさせるために外国人を支配下に置くこと
  • 業として不法就労活動やその支配行為に関しあっせんを行うこと

故意や過失がなかった場合でも退去強制になるかどうかについては、規定がありません。
そこで、今回の訴訟では故意や過失がないような不法就労助長も退去強制の対象となるのか、法解釈の是非が争点となりました。

引用:出入国管理及び難民認定法第二十四条

(退去強制)
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により本邦からの退去を強制し、又は第五十五条の二第一項の規定による命令により本邦から退去させることができる。
[…中略…]
三の四 次のイからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
イ 事業活動に関し、外国人に不法就労活動(第十九条第一項若しくは第六十一条の二の七第一項の規定に違反する活動又は第七十条第一項第一号、第二号、第三号から第三号の三まで、第五号、第七号から第七号の三まで若しくは第八号の二から第八号の四までに掲げる者が行う活動(第四十四条の五第一項の規定による許可を受けて行う活動を除く。)であつて報酬その他の収入を伴うものをいう。以下同じ。)をさせること。
ロ 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置くこと。
ハ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はロに規定する行為に関しあつせんすること。

出入国管理及び難民認定法

結論として、高裁は「退去強制は過失がなくても成立し得る」と判断したうえで、「マスクを外せば就労資格がないことに気づけた可能性がある」として、この女性にも過失があったと認定しました。

不法就労助長を防ぐために企業が心がけたいポイント

この判決から、企業が気をつけるべきポイントをまとめます。

外国人の不法就労助長が刑罰だけでなく退去強制の対象になる可能性がある
不法就労に関わった企業の担当者が外国人であった場合、たとえ刑罰で不起訴になったとしても、行政処分として退去強制が課される可能性があります。

採用時の本人確認・在留資格確認を厳格に行うこと
今回のケースでは、マスクを外させず本人確認を怠った点が「過失」と認定されました。
採用時にしっかりと本人の顔を見て確認を行い、在留カードをチェックしなければなりません。

担当者任せにせず企業全体でコンプライアンス体制を整備すること
現場の担当者だけでなく、経営層も含めて外国人雇用の法制度を理解し、継続的な教育や体制整備を進めることが重要です。

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宮田 みき
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